映画雑記

映画、アニメ、マンガをレビューしてます

子連れ狼 冥府魔道

今回、日本国立美術館フィルムセンターの三隅研次特集にて再上映された。
自分は海外版のブルーレイを持ってるがフィルムセンターの再上映は少しキズが見れたもののフィルムの保存の状態がいいのかブルーレイよりも遥かに高画質で綺麗な発色だった。
こういうバカ映画を家で1人で見るのも良いが観客と一体になって笑うのも再上映の醍醐味だ。
そういえば数週前の剣の再上映では上映後拍手まで起きていた。

たしかに娯楽映画としてのシリーズ最高傑作は二作目の三途の川の乳母車だ。
しかし時代劇としてのシリーズ傑作は冥府魔道だ。
前作で行きすぎた荒唐無稽描写から軌道修正。
飛び道具無しの硬派な作品になってる。
1番三隅研次監督らしさが出ている作品で徹底した刀による人体断裂描写も監督が斬る事にこだわった結果だと思う。
今回奇をてらったカメラワークも少なく正統派な時代劇にもかかわらず面白いのはさすが三隅研次監督と思う。
同監督の眠狂四郎無頼剣と同じくエロシーンも無い。
ストーリーは一本の筋からあまり逸脱する事なく分かりやすいはずなのだが少し煩雑な印象を受ける。

三隅研次監督は72年の1作目子貸し腕貸しつかまつるでゴア描写に開眼。
74年のこの作品でシリーズを降板
次回作を75年に狼よ落日を斬れを撮影の後他界してしまう。
これからの活躍を新たに期待した監督だが残念だ。
国内外問わず映画業界に残した影響は計り知れない監督だと思う。