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三級片スーパークレイジー極悪列伝 八仙飯店人肉饅頭

ハーマン・ヤウ監督と主演アンソニー・ウォンの初期三作の特集上映

ハーマン・ヤウとアンソニー・ウォンといえばイップマン最終章が記憶に新しい。
この三作は香港が中国に返還される数年前に製作された。当時香港返還の話があり世間では不安などがあり、さらに羊たちの沈黙のブームで実録猟奇殺人映画が流行ってたという背景があるらしい。

軽く各作品の感想を。

八仙飯店人肉饅頭
ハーマンとアンソニーのタッグ1作目だ。
マカオで八仙飯店を乗っ取るため八仙飯店を経営する家族を殺した男とそれを追いかける刑事たちの話。
とにかく容赦ない映画だ。アンソニーは殺したアルバイトを殺して人肉饅頭にするシーン。とにかくボディーは透明にしちまえ精神を貫いて工程を丁寧にみせる。
もうひとりレジ打ちの女性アルバイトはレイプして股間に箸を刺して殺す。
自分の隣の席の女性客はこのシーンで眼を潜めてた。
この映画は2幕構成だ前半はひたすらアンソニーに外道っぷりを見せる。刑事に捕まりその後2幕目が始まる。
2幕目は刑事がアンソニーに起訴するために自供するまでひたすら拷問をする。
殴る蹴るはもちろんションベンをかけたり薬物投与して興奮させ眠らせない、背中に水注射して横になれないようにする。
おそらく2幕目はそれまで外道と思わせたアンソニーを可哀想と思わせようとしたのだろう。
けどやはり自供して一家殺人を映像で見せるのでアンソニーに1秒でも感情移入した自分を後悔するのだった。
なにも子供を殺して解体するとこまで見せなくても。

もう一つの注目は刑事部長役のダニー・リーだ。
この映画でアンソニー以上によく分からないし感情移入が不可能なキャラだ。
登場初期はひたすら現れる度に売春婦を連れて登場する。実際にダニー・リーは撮影現場でも女を連れてくるらしい。
だが途中からいきなり敏腕刑事になる。アンソニーの行動を読んで逮捕する。
2幕目拷問でボコボコにされたアンソニーを気遣い始める。と思ったら立場が危うくなったダニーは突如拷問を強要しはじめる。
よく分からないキャラだ。
多分この映画のプロデューサーであるダニーは終始イヤな奴だったキャラを好きな様にいじくってしまったのだろう。
男たちの挽歌最終章でも刑事は殆ど活躍が無かったらしいが出番を増やしまくって結果ヒロイン置いてけぼりのブロマンス映画になった。

あとはハーマン監督の社会派な部分も三作中の中では1番出てる作品でもある。
後半は体制側の批判になってる。