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横山光輝 超絶レアコレクション

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僕は映画以上に横山光輝が好きである。

この本の第1印象はとにかくタイトルがダサい。
超絶レアって商品名にしてしまうセンスは頭が悪すぎる。
潮出版横山光輝でメシ食ってるのだからもう少しマシなタイトルをつけて欲しかった。

横山光輝先生の短編集である。
収録作は
初恋
オレとおまえ
城と太陽と名探偵
長征
怪物
まんが浪人

まず初恋は見開きカラーのイラストにポエムが書いてある。珍しい作品だ。
ポエムはやたらキザでクールだ。だが呼んでる方が恥ずかしくなるくらい甘酸っぱい内容だ。

次はオレとおまえ。
この単行本の半分を占める。150Pほどの中編作だ。
バビル2世顔の主人公が暴走族に絡まれるヒロインを助け、暴走族とチキンレースをする。
主人公は何かに絶望してケンカとバイクに明け暮れてた。
憂さ晴らしにケンカに明け暮れる学生はあばれ天童の終盤を思い出す。
中盤は何かに怯えながらバイクレースとケンカに明け暮れる。
横山先生は幾つかのレース漫画やボクシング漫画を書いてるが殆どが暴走やスリル中毒になり事故死する話が多い。
その様な雰囲気が漂い始める。
終盤主人公の怯える原因が母親の原爆病の遺伝で余命幾ばくない事が明かされる。
少ない余命をバイクを通じ暴走族のリーダーと友情を育みヒロインと青春を楽しみ息を引き取るとだった。
学生版の生きるみたいな話だった。
原爆2世は当時の社会問題だったらしく、さりげなく学生青春モノに社会問題をテーマに入れてるあたり横山先生らしさがでてる。原爆2世の描写については巻末に注意書きがついてる。

城と太陽と名探偵は梶原一騎原作だ。というだけで読む価値がある。

長征は後に長期連載版のプロトタイプだ。
長期連載版はよりハードで戦国獅子伝並みのハードさだ。

怪物は60年代怪奇映画のような内容だ。

走れメロス太宰治原作の漫画化だ。
原作も長くない話だが、横山版も16頁と物凄いテンポの良さだ。コマ割りが細かい。

そして、まんが浪人がついに単行本収録だ。
長年のファンはファンクラブ会報誌に収録されてたらしいし、横山光輝プレミアムマガジンにも収録されてたし、たしか川崎で開催された横山光輝展でも原稿が展示されてた気がする。
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おれは、漫画が性にあってるんかなぁがこの漫画を表してる。
この漫画は別冊ジャンプの企画で漫画家の自伝シリーズの一編らしい。
他の漫画家が俺は漫画家になる!とか漫画論など熱意を語ってる自伝なのに対し、漫画は趣味と言い切ったり。サラリーマンになって、すぐ辞めてニートになったりする。
出版社から何冊売れた?と聞かれ、さぁ?と答えたり漫画は趣味というスタンスで書いてるのが面白い。
漫画論ならぬ横山光輝漫画論が描かれてるのだ。
あまり私生活とかが不明な横山先生の断片が読めて面白い。
あまりの内容に企画単行本化のときにハブられてしまったらしい。