映画雑記

映画、アニメ、マンガをレビューしてます

透明人間とセックスしないか インビジブル

さぁ皆さんお待ちかねインビジブル

ロボコップVFXにどハマりしたポールバーホーベン監督最後の大作映画。
こわいこわい透明人間になったケビン・ベーコンとまだ戦闘能力が低い時代のジョシュ・ブローリンが戦う映画ですねー。

プラトンの言葉「もし人間が透明になれるとしたら神のように意のままに振る舞う」をテーマにバーホーベンは透明人間をリアルに描きます。
この映画に出てくる透明人間薬は投与されると透明になれるけど戻れないんです。
しかも副作用で防御力と腕力が激増します。
おまけに電撃、炎にも耐性が付いてしまいます。
そしてもう1つ大きな副作用で精神レベルが思春期くらいまでに低くなります。
ってなわけでさっそく透明になったベーコンは中学生の夢を叶えるべく
寝てる女の服をめくってオッパイを見たり
女子トイレに隠れて女のションベンを鑑賞したりマンションの隣に住むトゥームレイダーの主人公のモデルのええ乳した女をレイプします。
次にウルサイ犬をハンマー投げの要領で撲殺。
ローリングサンダーの主人公の人を溺死させ
元カノがジョシュ・ブローリンとデキてるのを知ったベーコンは発狂。

ジェリーゴールドスミスの劇伴に合わせて同僚を首の骨折ったり刺殺したりと大暴れ。
最後は元カノと突然キスしたくなったところをエレベーターごと落とされて神の元に召されるのでありました。

DVDレビュー ボディスナッチャー 恐怖の街

以前DVDではカラーライズ版が発売されていましたがとっくに廃盤高騰してしまい待望の再販です。
しかもオリジナルのモノクロ版です。

ストーリーはサヤから産まれた人間そっくりな生物が知らず知らずのうちに本来の人間と入れ替わり侵略しているのに気づいた医者とその恋人の話です。

この映画は地球最後の男や縮み行く人間などと同じ所謂反共映画として有名です。
公開当時アメリカは共産主義の侵略を恐れていて同じ考えに統一され人格や個性、自由がなくなったり、洗脳や多数派が少数派になってしまうという物に日常的に恐怖していました。
それをSFに置き換えたのがこの映画です。
そのような時代的政治的背景を抜きにしてもとても優れた映画だと思います。
ドン・シーゲル監督の演出が冴え渡っています。
サスペンススリラーとしても面白いです。

何度もリメイクや模倣作がありますが侵略の恐怖というのは1番描けていると思います。
模倣作ならゼイリブもオススメです。こちらはさらに政治的侵略を取り入れてる傑作です。

このメーカーのDVDは初めて買いました。
パッケージは安っぽくダサいのですが
ワンコインのパブリックドメインのDVDと違いちゃんとリマスターされた映像で収録され音声もノイズや音割れは無く苦痛にならない仕様です。
字幕も変な訳は無く価格を考えるとかなりお得な商品だと思います。オススメです。

師弟映画の傑作 怒りの荒野 ブルーレイレビュー

マカロニウェスタンの傑作である。
ジュリアーノ・ジェンマ主演作でも荒野の1ドル銀貨に並ぶ傑作ではないだろうか。

ストーリーは貧乏人のジェンマ演じる主人公マリーが町に来たリー・ヴァン・クリーフ演じる凄腕ガンマンタルビーに惹かれ銃の使い方を習い主人公がガンマンになる話だ。

この映画は様々なアニメや漫画に影響を与えている。
タルビーはガンマン10箇条というガンマンに必要な教訓を教えていくが、これはジョジョの奇妙な冒険part7のスティールボールランでジャイロがジョジョに教える教訓の元ネタだ。
アニメでは起動武闘伝Gガンダムだ。
心酔した師匠が大悪党という展開
師匠マスターアジアの顔はクリーフ顔だ。

もう一つこの映画の魅力は音楽だ。
タランティーノがジャンゴ繋がれざるものとイングロリアスバスターズで流用したのでおそらく聞いた事もある人が多いはず。この映画では最高のタイミングとシチュエーションでテーマ曲が流れるので何も考えずに見てるだけでもオシッコちびりそうになる位カッコイイ。ちなみに作曲したのはヤコペッティの残酷大陸や食人族で印象に残るスコアを残したリズ・オルトラーニだ。

ガンマニアも必見だ。銃描写で早打ちをするためにバレルを切り詰めてるというトリックも上手いと思った。

ブルーレイは素晴らしい解説ブックレットも付くがおそらく初回限定なので今は付かないかもしれない。
画質も音質もマズマズだ。
ブルーレイでは吹き替えを収録してる。
ジェンマを演じるのは野沢那智、クリーフは納谷悟朗だ。この2人はほぼ専属フィックスでかなりハマっている。

マカロニウェスタンに興味があって続荒野の用心棒、一連のレオーネ監督作を見た後何見たら良いか分からないという人にオススメだ。とにかく見てるだけでカッコイイ作品だ。これが本来のマカロニなのだ。

フリードキン監督の隠れた傑作 クルージング DVDレビュー

ウィリアム・フリードキン監督の作品です。
ようやくオンデマンドですがDVD化になりました。

ゲイ社会を描いたサスペンスということで所謂怪作ですがフリードキンの演出がキレキレなので飽きません。

ゲイ連続殺人事件が発生し
これまで被疑者のゲイから犯人の好みに近い容姿の警官を囮にしてNYの新宿二丁目に潜入させる話です。
アル・パチーノが主演です。
出演歴的にパチーノは狼たちの午後スカーフェイスの間の作品で完全にヤクザの顔が出来上がってます。
パチーノの役に入り込んだ演技は最骨頂に達している時期なので鬼気迫るものがあります。

ゲイの中でもハードゲイを極端に描いてる事から当時この作品はゲイが嫌いなカトリックと本物のゲイの人から批難を浴び評論家からもボロクソな映画でした。
でも今はゲイもある程度認知され社会における同性愛の立場も変わったので再評価されても良い作品だと思います。

フリードキンのフィルモグラフィー的にも大事な作品だと思います。サスペンスを描きつつ別のテーマを描くのはヒッチコック的でまさにフリードキン版めまいといえる作品だと思います。

オンデマンドですし特典映像は無いですが
画質はとても良いです、音声も潰れはなくハッキリ聞こえます。
値段は高めですがオススメです。

TSUTAYAさんにはフリードキン監督の未DVD化作品の恐怖の報酬もお願いしたいです。

アイアムアヒーロー

原作は未見
売れない漫画家でダメ人間の主人公がゾンビから逃げる最中に出会った女子高生とウィルスが死滅する富士山頂を目指す話。

主人公は猟銃携帯の免許を持っててダメ人間だけど射撃の名人って、のび太をモチーフにしてるのかな。

ストーリーは綺麗に三幕構成になってる。
1幕目は舞台が東京徹底してダメ人間な主人公とパンデミックの様子を描く。
2幕目は富士の樹海で知り合った女子高生が半分ゾンビ化してしまうがそれを守る決意をする。樹海を彷徨い数ヶ月の月日が唐突に経つが主人公と女子高生の間に何があったかは想像に任せられる。
3幕目はゾンビ映画お決まりのショッピングモールだ。主人公はついにヒーローに成長する。

ホラー映画へのオマージュもたっぷりだ。
主人公のゾンビへの対策の妄想を映像で見せるのはショーンオブザデッド。
目潰しは死霊のはらわた
ラストのボウガン持ってる人が死ぬのは死霊のえじきか。
ゾンビの造形もサンゲリアの蛆虫ゾンビなどの影響もみれる。
殆どホラー映画でスプラッタ映画元祖の子連れ狼のオマージュもあるw

神谷誠樋口真嗣と共に特撮をやってた人で凄い人だけど前回のバイオハザードのCG映画であまりゾンビ描写が微妙だったので心配したが素晴らしかった。ゾンビの造形も素晴らしい。

今回同じ東宝作品の進撃の巨人の反省がよく見られる。同じ三幕構成なのに引き伸ばし前後半にしたので構成が無茶苦茶になってた進撃だが今回は130分で上手くまとまってる。
説明描写が殆ど無く伏線も上手いので見てて面白い。
相変わらず大物女優がからむシーンでは話が停滞して欠伸が出る。ここは残念だ。
日本映画得意のうわああああの叫びはジョークとして使われているw

パンデミックのシーンはとても良くて少ないカットで主人公が逃げ回るので臨場感がある。
ここだけで1400円出した価値があった。

冒頭ドランクドラゴンの塚地の名演はとても良かった。優しい顔で丁寧な言葉なのに狂ってるキャラやらせたら天才かよw

ウォーキングデッドなど日常的にゾンビ映画に親しまれてる海外ではウケるか微妙だが
和製ゾンビ映画では最高作なのではないだろうか。

出所祝い

見終わる間で東宝製作と気付かないくらい東映の仁侠物のようなテイストの作品だった。
五社英雄節は健在でラストの三味線をBGMに波を背景にチャンバラはまさしく五社英雄イズムだ。
ストーリーは特に見るとこは無いし少し冗長で飽きてしまうが
太鼓を叩きながら刺される安藤昇
田中邦衛の壮絶な殺され方
など映像的には見所がある。

仲代達矢もこの後の作品ほど壊れた演技をしてはいないが今作では後の鬼龍院花子の生涯のベストアクトの原型が見れる。

鉄人28号 白昼の残月

04年の今川泰宏監督の鉄人28号の劇場版である。
しかし中身はスピンオフのパラレルワールド
テレビシリーズとは少し設定が変わっている。
ミステリー部分が少し不親切というか矛盾やツッコミが多い上に先ほど言ったテレビシリーズからの変更部分で混乱する。
もう少し上手くやれれば面白かった気がする。
やはり今川監督が90分長編が初挑戦だったので仕方ないのではあるが。
犬神家の一族のオマージュになってるがそれも上手くいってるようには思い辛い。

アニメーションも低予算だが作画面はあまり破綻なく頑張っている。欲を言えばもう少し鉄人を動かして欲しかった。
まぁ実写版の大コケから長編アニメが作られたのが奇跡のようなものなのだが。

見所は鉄人28号のキャラクター総出演である。テレビシリーズでは本物は即死んでてずっと偽物だったクロロホルムが最後の敵だ。ものすごい極悪ツラになります。
VL2号は活躍なく即ゴッドフィンガーされてやられてしまいます。
序盤伊福部昭氏の祭に合わせて壮大に登場する怪モンスターは目立ってて良かった。
いきなり冒頭の矢島正明さんのナレーションも素晴らしい。
終盤廃墟弾を喰らい顔が爛れ被爆したようになる鉄人はとても印象的だ。

やはりこの映画は実質遺作となった伊福部昭氏の劇伴に尽きる。
祭に兵士の序曲、シンフォニアタプカーラが壮大に鳴り響くシーンは心が盛り上がる。まさにタプカーラがしてしまう。